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「さみしさ」の研究 / ビートたけし(小学館新書)

本当のところ たけしさんの表現は

映画等も含めて あまり得意ではないけれど

今回は タイトルが気になって拝読。

 

語り下ろしと

週刊誌・連載からの抜粋 ミックス、という一冊。

 

「幸せな孤独」

「明るい老後」

そんなの そもそもあるわけないぢゃん、と

冒頭からなかなか 小気味いい。

「終活」「アンチエイジング」等々

老いへの現代対応策も

バッサバッサと叩き斬って痛快。

 

感情で上げ底したり

オブラートに包んだりせず

ゆるさを省いた客観性が 面白い。

 

ただ中盤以降 タイトルからどんどんずれて行き

”おいらの話し”に。

内容は「なるほどね」と思うのだけど

” で、あれ?『さみしさ』は?” となる。

 

なんとなく中島義道氏「孤独について」(文春新書)くらい

それをたけし流にずんずん掘り下げる展開を期待してたので

なんとな〜く 小学館新書さんに

カツがれて買っちゃった感が 残るなー。

でも まー 面白くはあります。

 

… と ここまで書いて ふと思いましたが。

 

もしかしたら

ゆるさや 甘さに逃げ込まない

俯瞰的な立ち位置を貫く

たけし流自体が「さみしさ」なのではないか。

何にも迎合しない姿勢のまま

老いを引き受けていく 彼自体を

小学館さんが「さみしさ」として

作った本なのか… と。

 

これは かなり親切な見解ですが。

 

 

2019.02.15 Friday | - | trackbacks(0)-

銀の糸 / 野中柊(角川文庫)

野中作品 おそらく 初読。

器用な作家さんだと思う。

 

六つの短編恋愛小説集。

デリケートな

センシティブな

それでいて淡々とした表現。

川上弘美を思わせるような

静けさのある

大人のおとぎ話の世界。

 

"幸せな結婚"という水槽で

ぷかぷか ゆらゆら

それに身を任せる金魚のような女性を描いた

表題作「銀の糸」が好き。

平和な 幸福な視点からの描写が

優しくて ホッとした。

 

愛猫の最期のシーンが切ない 「祝福」。

自分の体験が蘇り

泣きたい気持ちが胸で熱い玉になった。

猫は生きながら 

いつもこちらへ見えない何かを暗示してくれてる。

それを知ってる野中さんは猫好きなのね。

 

猫派で親近感。

次は この人の長編を

読んでみようかな、と。

 

 

 

 

 

2019.02.15 Friday | - | trackbacks(0)-

ママがやった / 井上荒野(文春文庫)

タイトル買い。

久しぶりな井上荒野作品 。

 

予想とはかなりかけ離れた

破天荒なお話し。

 

70歳過ぎても 女癖の悪いままのダメ亭主。

80目前の年上女房が

ふっと うっかり殺してしまい

現場・自宅へ呼ばれた3人の子供たち。

 

奇抜な場面から始まるけれど

ドロドロの修羅場でもなく

「警察行ってもいいわよ」

集まった子供たちの食事の準備をしながら

ケロッという母親。

流石に慌てる子供達ではあるが

銘々 どこかトンチンカン。

サスペンス小説のように

犯罪自体の大げさな生々しさもなく

かえって「そんなもんかもなあ」と。

 

その出来事に至るまでの

変わった どちらかと言えばダメな

5人家族 それぞれの

ダラダラな半世紀を

短編8つで描いている。

 

ひとつ ひとつ

とにかく グダグダで

面白いかは 「?」なんだけど

読み終えた時 人間の想いって 

理路整然と美しいことばかりじゃなく

偏ってたり 腐敗してたり 絶望してたり

いろいろなのねえ…と

どこか 腑に落ちるような

あり得なさそうで あり得る気になる

 

… まあ 個性的な小説です。

 

 

 

 

 

2019.02.03 Sunday | - | trackbacks(0)-

娼年 / 石田衣良(集英社文庫)

評価:
石田 衣良
集英社
¥ 432
(2004-05-20)

本当?直木賞候補作だったとか。

で 映画化になったのかな。

なんとなくタイトルを目にすることが多く

興味本位で手に取った

久しぶりの石田衣良作品。

 

感想 一言。

「女性向きコミックのようです…」

 

母親によって心に暗い傷を持った

二十歳のわりかしイケてる男子大学生が

スカウトされコール・ガールならぬ

コール・ボーイになって

いろんな女性と出会って

歪んで見てた世の中への見解が

だんだん変わってゆくお話。

 

エロエロな箇所はさておき

というか 多分

そんなのはさほど重要ではなく

 ”その偏った趣味を生み出した背景”とか

”それを抱えながら暮らしている日常のギャップ”とか

そのあたりが肝心なはずなんだけれども。

 

場面がザ・渋谷区・港区だったり

洋服もザ・メジャー ブランドだったり

インテリにこだわった話題ネタが

プラトン・ソクラテス

ひいてはザッハー・マゾッホだったり

バイオリンが出てきて

クラシックが流れて

ちょいちょい出てく食材に到るまで

典型的すぎるそれは まるで

田中康夫あたりの小説のようです、と言ったら

直木賞選定委員会の人に怒られるでしょうかね。

 

出だしが とってもすごくスリリングで

グーッと惹きつけるのに

最後まとめのチープさも含めて

なんだか もっともっと練ればよかったのに…と

人ごとながら 残念な気持ちになりました。

 

いっそエロエロ描写なんか一切 省いて

その奥にある深層心理を

もっと掘り下げた方が

うんと文学的ではなかったか。

 

それを描きたかったはずなのに。

 

 

2019.01.22 Tuesday | - | trackbacks(0)-

一切なりゆき / 樹木希林(文藝春秋)

樹木希林さんの

インタビューや対談のコメント集。

 

「とても仏教感がある人なんだなあ」

 

去年 彼女を追ったNHK番組を見たとき

まず思った通りで

発言の根底に一貫して それを感じた。

 

すごいねえ。

自分っていう生き物を

こんなに俯瞰で見て

「誰の話?」ってくらい

客観的に観察して面白がって。

 

美意識の在りどころが潔くて

なんとも魅力的。

 

もう一回 ひとつひとつの作品を

ゆっくり観たくなるような一冊。

 

 

 

2019.01.21 Monday | - | trackbacks(0)-

獅子吼 / 浅田次郎 (文春文庫)

評価:
浅田 次郎
文藝春秋
¥ 734
(2018-12-04)

和歌を詠むように冴え渡る浅田ワードたち。

今回も圧巻。

 

動物園で暮らす宿命の獅子。

その世話係。

人間が起こした戦争という混乱の中で

人間の都合で下される決定。

それに揺れ動く人々と

それをただ受け入れる獅子。

 

表題作を始め 短編は人々の「哀しみ」「想い」

そして その果てに 

どうしても どうしても一片残る

その生 それぞれの

「誇り」というか「プライド」というのか。

 

優しさが 決していつでも

正しいわけではなく

報われるわけでもなく。

決してハッピーエンドに限らないところが

浅田眼らしくて深い。

 

それまで巡っていた思考回路を

真逆に変えてしまう

たった一言の刹那。

 

わかりやすく言うなら

「こだわり」「流儀」「ポリシー」… ?

言い換えると なんとも貧弱になってしまうけれど

誰もが胸の奥の方に保持している

大切な引き出しの物語。


譲れないこと。

譲ったら壊れてしまうこと。 

 

2019.01.18 Friday | - | trackbacks(0)-

地下の鳩 / 西加奈子(文春文庫)

評価:
西 加奈子
文藝春秋
¥ 572
(2014-06-10)

久々の西作品。

 

キャバレーの呼び込み

スナックのチー・ママ

オカマバーのオーナー

 

大阪・ミナミ 夜の世界を

かなりストイックな風合いで描いている。

どうしても「きいろいゾウ」のイメージが残っており

http://anmitu-1.jugem.jp/?eid=153

いやー びっくりした。

この人 こういうの書くようになってたのね。

 

生きにくい性ゆえ持たされた 苦い呪縛。

逃れるように夜の街へ住み着いた人びと。

どんなに切り離し 捨たつもりでも

結局は 自ら封じ込めた記憶の中へ

飲み込まれてしまう 哀しい生のかたち。

 

ひりひりした描写のなかに

どこか 祈りのようなものがあり

魅力的にすら映る。

 

著者の異色作と書いてある通りだけど

作家の新たな幅を垣間みて

暗い作風とは逆に

うれしい気持ちになった一冊。

 

 

 

 

2019.01.13 Sunday | - | trackbacks(0)-

霧町ロマンティカ / 唯川恵(新潮文庫)

恋愛小説代表・唯川作品には珍しいタイプ。

 

離婚され リストラされ 

家族も家も仕事もない中年男性。

軽井沢の朽ちかけた持ち別荘へ移住し

地元の小さな居酒屋を通じて

知り合った人々と触れ合う中で

自分らしい生き方を模索していくお話。

 

中編ほどの量感ながら

緩やかに書かれている。

特に引き込まれるタイプではないけれど

小さなリセットに読むのが

ちょうどいいな、と思ったら

週刊誌の連載小説なのだと 解説で納得。

 

終盤 ちょっとした仕掛けがあり

そこで やっとはじめて

全体が締まった感じでした。

 

「自由と不安と孤独は それぞれ背中合わせ」

 

そんなことを想う一冊。

 

古い別荘に犬と一人。

仕事はないけど 

生活に困るほどでもなく

これまでの人生を

そして これからの自分を思いながら

何をするでもなく過ごす。

 

まあ かなり贅沢な暮らしには違いないです。

中年おじさんの 自分探しの日々。

 

老犬ロクが弱り

やがて亡くなる様子が

なんとも 切ない。

 

2019.01.10 Thursday | - | trackbacks(0)-

サーカスの夜に / 小川糸(新潮文庫)

読書家で著名なミムラさんが推薦していたので

「食堂かたつむり」以来

かなり久しぶりに拝読。

http://anmitu-1.jugem.jp/?eid=174

 

 

両親の離婚で一人残された少年。

病気の後遺症で体が小さいままの彼は

自分の将来と居場所を求め

B級サーカス団へと 飛び込む。

 

国籍も本名も不明なまま

童話のような メルヘンのような

でも 少し哲学的な風合いで

”自由に生きていくこと”が綴られている。

いしいしんじの「ブランコ乗り」を

思い出すような 物悲しい暗さも漂う。

 

「食堂かたつむり」では

可愛がっていたブタを食べるシーンがあり

「え”ーーー 食べちゃうのーーー?!」と

かなり驚いた記憶があるけれど。

今回もサーカスの一員だったペンギンが急死して

それを食べる、食べない、のくだりがある。

 

命を食し 命を連鎖する…そんな基本思想が

ある人なんだろうかなあ。

 

”自分の運命と和解する”

いい表現だ。

自由に生きるための

とても難しいテーマだけれど。

 

 

2018.12.25 Tuesday | - | trackbacks(0)-

水曜日の朝、午前三時 / 蓮見圭一(河出文庫)

 

「人生は選択の連続である」

 

ハムレット名言のごとく

誰もが 日々朝から晩まで

どっち?  どっち? で 生きている。

 

”あの時 あっちを選択していたら”

”あり得た もう一つの人生”

 

末期ガンで死期が近づいた女性が

その想いに基づく我が人生の回想を

音声にして娘に残す。

紐解かれる 母のもう一つの顔。

 

おそらく初めての作家さん。

男性が書く文だなーとしみじみ。

最後の最後に

昔の恋人に電話しちゃおうかな、と括るあたり

ロマンだー

男のロマンだよー。

 

小説自体の面白さというよりは

誰にでもある「もし〜たら」の人生を省みる

きっかけ作りのような小説でした。

 

色々あっても

これで良かったんだと思う。

"たられば"は あくまでも  "たられば”ですよ。

 

… これが 一般的には女子の回路 と思います。(笑)

2018.12.12 Wednesday | - | trackbacks(0)-

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