図書館本。
前情報 ゼロで読み始めるも
意外な作風で人物・設定に慣れるまで
前半 ちょっと大変。
大正〜昭和初期の華族のお話。
夢のように贅沢な華族たちの暮らし。
だからこそ重い「家・一族」の縛り。
どんなに死守しようと
人間が画策したとて
結局は 時代の大きな流れが
過去のこととして飲み込んでいく。
「枯山水」の庭だけが
変わることなく今に残る。
けれどドローンという文明の力で
見え方すらも一新を加えてしまう。
つまらないね 文明なんて。
要らないものだ。
ロマンがない。
小説自体がすごく良いのに
この本、なんで装丁がこれ?
めっちゃ 残念。
]]>「家族」とは なんぞや?
普通に育った女子高生が
想定外の妊娠発覚。
歯車が狂っていく。
その先々で人と繋がり
色々な形の家族・親子を知る。
要らない血の繋がりもあれば
そんなことより深い愛もある。
肝心なのは
立ち上がる強さ。
宇佐美ワールド
いつもながら
前半はかなり苦しい。
後半に向けて
視界がどんどん開けてくる。
現代における
弱者たちのテーマが満載だ。
]]>
|
謙虚で 愛情深く
正直で ユーモラス
俯瞰ながら 温かい
類まれな環境に
兄妹もなく
ひとりで育った彼女の
深い人間性に目を奪われる。
対談の人選も すごくいい。
父、そして 母が亡くなった時の
自分の中の動揺を思い返し
それから流れた年月を
振り返るような余韻が残った。
]]>
評価:
|
「透明な夜の香り」の続編。
http://anmitu-1.jugem.jp/?eid=615
天才調香師の館に雇われた
過去に傷を持つ男子が
揺れながら その先を見つけていくお話。
千早ワールドの原点。
感情に香りがあり
嘘に匂いがある。
そのさきが知りたくて
あっという間に完読。
当然 読後に
「透明な夜の香り」を再読したくなる。
]]>「伊藤比呂美」さん。
名前の字面は拝見したことがありながら
不勉強でこれが初めての作品。
両親・夫・友人知人の
老化と介護・死別にまつわるエッセイ。
びっくりした。
好みにピッタリだ。
本業は詩人だからなのか
文章にリズムがある。
強弱 アクセントがハッキリあって
すごく読みやすい。
余分のない言葉で綴られているが
尚且つ 尚更
どんどん入ってくる。
こういう文章がとても好き。
もちろん内容も
「こういうこと 誰かに言って欲しかった」
ついそう思ってしまう。
ユーモアの中に見え隠れする
愛情の深さが すごく良い。
図書館本でしたが
これ 自分用に買います。
]]>
シンプルだけど 理屈っぽい。
屁理屈っぽいのに 実はストレート。
ど真ん中に見えて カーブだったり。
大きなことから
ささやかなことまで
「あ!」と気付かされる。
”個性的であれ”の トンチンカン
”自分さがし” のナンセンス
したり顔の現代人に
ちょっと耳の痛いお話。
時短で答えを急ぐ
今のスピード感に振り回されず
自ら抜け出さないと。
小さく反省しながら読んだ。
こういう大人の存在は
とても大切。
]]>
評価:
|
かなりヘビー級の長編作。
二つの同時誘拐事件。
その発端から
未解決のまま流れた30年。
前情報なしで読み始めるも
登場人物の多さと
目線がどんどん変わっていくので
慣れるまで 結構 しんどい。
けれど先が気になって
投げ出す気にはならず。
辛抱の甲斐あって
後半から巻き返すように
ドッと景色と作品の体温が変わる。
終盤・人間愛の場面では
読んでる場所が駅構内ながら
人目も構わず 泣ける… 泣ける。
最後の最後のページまで
技ありの展開で
本屋大賞ノミネート 納得。
いい本。
]]>
評価:
|
大人の事情に翻弄され
瀬戸内海の閉鎖的な離島に
住むことになった少女二人。
彼女たちの儚いけれど 確かな絆。
でも それは ある事件で
ぷっつりカットアウトされる。
やがて成長したのち
運命に呼ばれ 記憶を辿りながら
再生されていく。
アミニズムを支柱に
男尊女卑で構築された
あまりに閉鎖的な島民たちの
村意識がなかなかしんどい。
そこへ楯突くだけではなく
独自の視点を構築しようともがく
真以という少女のひたむきさが眩しい。
一見 破天荒に見える彼女に
少女・葉が惹かれたように
読み進めながら
こちらも心を奪われていく。
その後の彼女たちの人生を
また読みたい気がする一冊。
]]>
乳癌・闘病記の「 くもをさがす 」を基に
さらに掘り下げたような短編小説。
” 書かずにはいられない "
闘病中の特異な体験 強烈な覚醒
何か強い力に突き動かされて
雪崩れ込むように描いている
… そんな印象でした。
どれもこれも
なかなか キツい内容ながら
初っ端と ラストの2作に
グッときました。
西ワールドを読むと
いつも感じるけれど
生命力が漲っている。
]]>
日本画を思わせる
ノスタルジックな表紙が印象的で拝読。
発行からもう10年も経っている。
前情報なしだったが
企画・監修は糸井重里氏。
なるほど。
話題になったんだろうな。
幼少期に遭遇した 同級生の死。
そこから考え続け
未だ「死」のこたえが出ない
死期が近い老人の作家。
その孫は 祖父の死を知った瞬間から
「死」を問うバトンを受け取る。
哲学のような
宗教のような
読後のレビューを見ると
絶賛が多いんだが
そんなにわかりやすいことを
描いてあるとは
とても思なかった… な。
子どもを全然
可愛らしく描いてないところに
リアリティを感じた。
独りぼっちで逆上がりをしている
文字のないページがすごく好き。
]]>
評価:
|
月好きの タイトル読み。
月がテーマのポストキャストを軸にして
うまくいかない「今」を
持て余している人々が
小さな繋がりで 気付き
視点を広げていく
連作・短編集。
元気がない時に読むと
気持ちのビタミン剤になりそうな類。
優しい一冊。
]]>
アフガニスタンで尽力された
中村哲先生のドキュメンタリー映画。
とても簡単には言葉にできないほど
強く 揺るぎない 一人の意志が
見違える光景に
その土地を変えていく。
自然を敬う人間の行動には
これほどまでの力があるのだと
目を見張った。
「 今だからこそ 」
できる限りたくさんの人たちが
観るべき映画かと。
老若男女 国籍 関わりなく
地球に暮らす人として。
]]>
「空気を読んで足並みを揃える」
日本人お得意のこれに
重大な危険性が含まれている。
すごくわかりやすく書いてあるので
自分にも思い当たる節が
わかりやすく反応する。
これでは いかん。
面倒でも 億劫でも
「自分はどう感じるか」を
表明する習慣づくりが重要。
残念ながら
これはおおかたの日本人が不得意。
]]>
評価:
|
他の千早文学とは
だいぶ違う作風。
戦国時代末期
石見銀山に生きる 男たち・女たちの
壮絶な生き様。
親と逸れた貧しい幼女が
山師に拾われ
銀山で育ち
老婆になるまでの
長い月日の物語。
女子ながら
山猿のように
野性に育っていく
前半が面白い。
もし映画化されたら
どんなキャストがいいか、とか
想像しながら読み進めると
また面白い。
]]>
評価:
|
ほぼほぼ 読破しているのだが
「 どうした 千早 」
問いたくなるくらい
不完全燃焼でした。
相手から離婚を突きつけられ
シングルになったアラフォー女子の
揺れながらも未来を見据えて
新たに地固めをしていく物語
… なんだが。
別れ方 出会い方
探し方 始め方
揺れ方 迷い方
みんな中途半端でしっくりこない。
いつもの千早節が空回りする。
ファンゆえ
挽回に期待。
]]>
優しい気持ちになりたくて
寺地ワールドをチョイス。
今回はちょっと足りなかったかな。
田舎の小さな村に住む
同級生3人。
土地の伝統祭りを絡めながら
閉鎖的な日常を共にする。
月日が流れ 伝統祭りの復活を機に
大人になった3人が再会する。
人は誰でも
ずるくて悪い「ずるわる」で
神さまはそんなの承知の上で
だから 黙って見守ってくれて
ゆえに バチも祟りも
そんなの起こらないよ、という結びのあたりに
ようやくうっすら寺地ムードが漂ったかな。
まあ タイトルが語る通り
隣の芝生は青く見えるもの
あの人みたいになりたいわ、と羨むと同時に
自分を責めたり 蔑んだり…
でも この悪循環は
あなただけに起こってるんじゃないよ、
誰の心にもあることよ、と
優しく囁かれたような読後感。
… のだが
長編のわりに散漫になった箇所が多く
かえって残念。
]]>
教授・自伝の一冊。
幼稚園で初めてピアノを弾いたという
ふつうの生い立ちから
だんだんと 「世界のサカモト」が
構築されていく その経過が面白い。
特に幼少期〜高校時代の環境が
馴染みのある地域で
親近感を持った。
いつの時期をとっても
ガツガツ感がなく
淡々と 飄々としていている。
スターではなく
どこまでも「音楽家」のスタンスが
とても魅力的だ。
]]>
偶然 同時期に
近しい人たちから勧められ拝読。
ある朝 突如 脳卒中になった
脳科学者の筆者。
壊れていく脳機能の経過と
手術・治療・ リハビリを通し
やがて大きな気づきに遭遇していく。
驚くべき出来事は
まるで小説のようだが
事実の記録。
右脳と左脳のハンドル次第で
幸福感がまるで変わるという。
宗教的だったり
哲学的だったり
想定外な展開を含みつつ
誰でもが「今の自分」を
考え直す機会になりそうな一冊。
もちろん 私も例外ではありません。
]]>
12名の古典文学者たちの
赤裸々な生き様と その傍の人たち。
書く 覚悟
生きる 覚悟
死ぬ 覚悟
情報過多ゆえ
便利で 安穏とした現代とは
桁違いに 猛烈な力。
圧巻な 求心力。
かつて書いた人たちには
脈々と それがみなぎっていると痛感。
と同時に
現代人の柔さを
しみじみ憂いてしまう本でした。
]]>
敷居が高いかと思いきや
読みやすい。
進化論とはいえ
どこか 哲学書のような
ハートフルな文章。
無数な細胞の総合体が「わたし」。
地球上にコピーはどこにもいない
唯一無二の存在。
どう豊かに生かそうか。
年初めに読むには
ちょうどいい一冊でした。
]]>
アラフォーの女子と
知り合いの年下男子。
食の趣味が合う二人が
それを理由に
京都の町屋で同居生活をする。
それぞれには
別に恋の対象がいる。
だから同居生活の理由は
恋ではなく あくまでも「食の趣味」。
ありか無しか?
解説で阿川佐和子氏が書く通り
「いい味わい」の一冊でした。
千早ワールドは
食の描写がいつも絶妙だ。
読み進めながら
「食の趣味が合ってる」と感じる。
食は 恋に勝ると
おばちゃんは思う。
]]>
コメント:話題作を拝読。感じたことはあるのだが「健全者・部外者の絵空事」と怒られそうだ。
|
話題作を拝読。
感じたことはあるのだが
「健常者・部外者の絵空事」と
怒られそうだ。
]]>
角田ワールドは
読み終えた時 口の中が苦くなる…。
その所以は
主人公の愚かさか。
それ以前に 自分も含めた
人間全般の愚かさか。
と、言うこともあり
ちょっと遠巻きにしてた角田ワールド。
たまたまウチで見つけ 久々に拝読。
「女の犯罪の陰に男あり」
ごく普通の専業主婦が
莫大な横領事件を起こすお話。
小さな枯渇感を埋めようと
銀行で働き出し 収入を得て
ささやかな富
自分の社会性・価値に目覚める。
でも 埋まらない心の隙間に
ひょんなことで火がついた。
描いてしまえば
「 何て愚かな 」女の話。
でも そんなものかも〜と
気付かぬうちに 自分と置き換えている人は
少なくないのでは。
使い道は人それぞれでも
大金を使うという陶酔。
”麻痺”するんだろうなあ。
寂しさも 幸福感も。
怖い 怖い。
悪いホストに狂って
がんじがらめになる
近頃の若い子のニュースを
思い出した。
怖い 怖い。
お金も 人の世も
それを描き切る 角田ワールドも。
]]>
新興宗教にハマった父親が
幼い頃に失踪し
その痛手を胸に育った女子。
修士論文の作成過程と
コロナ禍の学生生活
および 恋愛・アルアバイトを通した出会い
諸々の中で
痛みを覚えながらも
本当の自己に気付き
大きな節目を迎える… ような お話。
共感できる箇所も
なくはないが
後半に露呈する
トリッキーな種明かしが
腑におちず 「?」のまま終わってしまった。
タイトル自体
よくわからない。
こちらの読解力不足でしょうか。
]]>日本人の父と台湾人の母を持ち
日本で育った女性。
他とは違う 小さな積み重ねに
苛立つ時期もありながら
夫婦や 親子に悩み 挫折も味わうが
諸々が混じり合った
独特のアイデンティティーに
気付き さらに構築するお話。
扱われる題材が多いので
なかなか 複雑な内容になっている。
『小説という言葉において
「魂の深さ」 を追求している』
と指摘する解説通り
民族・国家・言語 を超えたもの
すなわち 魂の深さで
家族は 人々は つながり合うことが
人の世を支えると信じたい。
特に この時代においては。
]]>
まず 表紙。
ご本人の笑顔がいい。
幸せそう。
読み進めるごとに
納得。納得。
健やか。
こういう風に
歳を重ねたいもの。
ご機嫌で暮らすって
実は簡単じゃない。
哲代おばあちゃんは
自分の機嫌を取る達人。
流れの中で
ゆっくり ゆっくり角が取れて
ツルツルで まあるくなった
ピカピカな 石のようです。
そんな石を
私も目指したいな。
]]>
評価:
|
作家・西加奈子さんの乳がん闘病記。
もともと 好きな作家さんだったけれど
テレビの特集を見て
すっかり魅了されてしまった。
さらにこれを読み終えて
その想いが一層 深まった感じ。
ただでさえ 大変な病なのに
遠く異国での発病と治療。
おまけに世界中が深刻なコロナ禍の時。
「自分だったら…」
想像しただけでも 心細すぎて
沈没しそうな話しだが
西氏は明るい。
そして 正直さを諦めない。
ユーモアの視点がぶれない。
家族が、周りの友人たちが、
彼女を支える。
どんなに辛い状況下でも
彼女は感謝を忘れない。
自分を見失わない。
すごいなあ … すごいなあ …
本当に 魅力的な人だ。
本当に 魅力的な一冊。
]]>
人が死ぬ時に
最後の想いを馳せて残すという
赤い珠「ぎょらん」。
それに遭遇した人たちの
特別な体験のお話。
七篇の連作集になっており
とても読み応えがある。
人の命のあっけなさ
だからこその重さ
残された者たちが解釈する「死」。
ヘビーな内容ながら
町田作品にいつも漂う
絶望に射す 一筋の光のようなもの。
本作も見事でした。
]]>
タイトルが良い。
ひょんなことから知り合った
同じマンションの住人二人。
身寄りのなくなった中年女子と
身寄りのなさそうな老婆。
中年女子が 老婆の汚部屋の片付けをするお話。
近頃 よく耳にする” 汚部屋 ”とは
なるほど こういう感じなのか、と納得。
それを生み出してしまう背景には
人の心の闇があるのだなあ… と。
そして 部屋が片付き 変化し始めると
当人の心境にも変化が。
読みやすい文章とテンポで
あっという間に完読できるタイプながら
なかなか深いことも描かれていて
なおかつ 読後の爽快感が良い。
”シンプルに そして快適に生きる”
そこから 新しい時空が始まる。
]]>「書く女性」たち。
それぞれの父の生き様と親子の形。
激動の昭和期
時代に翻弄されながらも
その人生を生きる父たち。
良くも悪くも大きく影響を受け
やがては ”書く力”に変えていった娘たち。
どの人をとっても
平坦ではなく
強烈な何かが
執筆へと突き動かしている。
「あの本は このときを書いた作品なのか」
「この経験が あの本になったのか」
背景を知った上で
再読含め 読みたい本が
ドッと増えた感じ。
”書く”ことは
勇気と覚悟だと 痛感。
容易くはない。
]]>山本文学 いつ以来だろう。
この人の世界は
現実的な閉塞感があって苦しい。
親の老後・介護
自身の仕事・将来。
職場の環境・雇用問題。
隣の芝生は青く見え
自分の足元はいつも心許ない。
特別な人じゃない30代女子が
大きく揺れながら人生を模索する。
さすが山本文学で
あちらこちらに
核心に迫るフレーズが仕込まれており
読み手を唸らせる。
ボーナストラックのような
プロローグとエピローグは
本編の体温と かなりかけ離れており
腑に落ちるまでに時間がかかったかな。
ボリュームがあるけど
2度読みすると
一層 深いかも。
]]>
美しい裁判官と
元服役囚の男性。
運命的に出会い
さらなる運命に翻弄され
加速度的に
宿命の渦に巻き込まれていく。
結構 ボリュームのあるミステリーながら
読むごとに隠し球が仕込まれており
先が知りたくてドッと完読。
映画で見たら
面白いかもしれないタイプ。
]]>父と息子の ほのぼの物語
… なんてつもりで読み始めたら
全然違って びっくり。
実直に生きるって
こんなに苦しいものなんだ。
当時の堅苦しい時代も手伝って
読んでるこちらまで
呼吸が浅くなるほど。
だからこその愛なのか… 。
父も息子も
しんどい人生だなあ。
凡人には
理解しにくい一途さ。
]]>
筆者の父親である井上光晴氏と
瀬戸内寂聴さん そして井上氏の妻との
苦しい年月をモデルにした物語。
嘘つきで見栄っ張りの
ろくな男ではないのだ。
でも 翻弄される彼女たち。
湿度が高く
閉塞的なイメージを持って読み始めるも
文学だな〜… としみじみ。
父親のその出来事を題材に取り上げた
作家としての覚悟が伺える。
作家って すごいな。
]]>「時の過ぎゆくままに」
「あなたならどうする」
「ジョニィへの伝言」。。。
有名で懐かしい
昭和歌謡の歌詞をモチーフに書かれた短編集。
井上荒野さん 久しぶりでしたが
もー 切ない〜。
どれもこれも
出口がなくて
答えもなくて
風に吹かれる水面の
一瞬の揺らぎのような
人の微妙な虚いを
歌詞から掬い取っている。
気持ちの良い話は
全然ないんだけれども
それほど 生々しく
内面的なことを
あの時代の歌謡曲は
歌っていたことに
改めて感嘆する。
江國香織さんの解説も
味わい深い。
]]>
移動販売で 美味しい野菜を売る
若者二人の想いと希望の詰まった一冊。
安全な野菜を作る農家と
それを捌く側に
大きな隔たりがある昨今。
なら取っ払ってしまおう
自由で若いエネルギーは
どんどんチャレンジを続ける。
読みながら こちらが気持ち良いくらい
シンプルで素朴な発想は
気負いなく 背伸びもなく。
何事も「おもしろがる」を大切にしている。
この出版から数年後
著者たちがもった店舗を
先日 尋ねてみた。
チームも事業も大き育っている印象。
今後を楽しみに注目したい。
]]>とある王国が
かつて侵略戦争に巻き込まれ
多くの犠牲を払った。
その歴史を繰り返すことなく
国を守る術を探ろうと
王は後継の孫・五つ子たちに
「最強のものを探す旅」を命じる。
一年後 彼らはミッションを達成し帰国。
それぞれが思う最強をヒントに
国が目指すべき方向を見つけ出していく。
やさしい言葉で
わかりやすく書かれた
まさにタイトル通りの おとぎ話。
世界が揺れる今に通じるものがあり
読後 各々が平和について考える
きっかけになるかもしれない。
五つ子たちの旅の詳細について
続編で描いて欲しいかな。
]]>家族にまつわる連作短編集。
既読の作品が
とにかく暗い印象だった。
今作も冒頭2作くらいまでは
めげそうな暗さで凹んで
なかなか進まなかった。
介護師の妻。
ほぼヒモ状態の元映写技師の夫。
周りの人々。
ありそうで なさそうな
見えそうで 消えそうな
結婚というカテゴリーの輪郭。
中盤を過ぎたあたりから
言葉遣いの巧みさに冴えが出てくる。
「自由ってのは あんがい寄る辺ないものなんだな」
義父の話しかたは視界の端に揺れ落ちる
雪とよく似ていた。
ふたりでいれば、親の死でさえ流れゆく景色になる。
大層なことではなくて
ささやかな日々の息づかいを
丁寧に描いている。
それは書くほどに哀しくなる。
月並みな言葉ながら
「文学は哀しみだ 」と
久しぶりに思いました。
]]>
既読のビオレタが面白かったので興味を持ち
http://anmitu-1.jugem.jp/?eid=647
他の作品も、と図書館本で拝読。
設定は少し似てる。
パッとしない 多少後ろ向きな女子が
出会いと環境の中で
自己肯定に目覚めて
未来へと目を向ける。
今回は祖父の吹きガラス工房を
多少 発達障害気味の兄と二人三脚で
引き継いでいくお話。
サクサク読みやすくて
読後 いい気分になれる。
「みんな違って当たり前」
頭でわかっていても
隣の誰かとつい自分を比べてしまう。
ちょっとでも 上回っていればホッとするし
劣っていれば嫉妬する。
このありがちな思考回路のリセットは
吹きガラスの修行同様
一足飛びにはいかない。
少しずつ自分を育て
その自分がだんだん気づくもの。
「それで良いんだよ」という
やさしい一冊でした。
]]>
子供のない 中年の夫婦。
妻が友人との旅先
交通事故で急逝。
夫の手元に残された
故人の携帯電話。
その中のメールから
知らない彼女の動向を知る。
近しい関係ほど
それぞれの想いが置き去りにされやすく
見えてない
陰の部分を生むものだ、ということでしょう。
共感できる部分もあるけれど
そこをもっと書き込むべきでは。
読者が掬い取らないと
浮き上がってこないほど
肝心の部分が薄い。
余計な描写と背景が多すぎて
もたついた印象。残念。
]]>
評価:
価格: ¥ 715 |
文字通り ほろよい加減にお酒を絡めた
人の繋がりを描く短編集。
ほろよいだから どれも
サクッと軽め。
でも 不足感もなく
「で、この後 どうなった? 」と
良い塩梅の余韻が心地いい。
評価:
価格: ¥ 407 |
ちょっと気分を変えて
久々 大人の恋愛とか … 小池真理子♪
と思いきや イヤミス全開。
怖い〜。
後味 超絶・悪〜。
個人的見解ながら
ミステリー小説は
どうも 無理やり感ある展開 が多い気がするけれど
そこは さすがです 小池ワールド。
「 こういうボタンのかけ違いってあるかも」という印象。
どれもこれもドラマになったら良さそう。
怖いから観ないけど…。(笑)
]]>
|
先日 ようやっと
「ナオコーラ・ワールド」に開眼したので
拝読 第二作目は 折り目正しくデビュー作を。
このタイトルとペンネームの
妙なカップリングへ
善くない偏見が先回りしてしまい
長く遠巻きにしておりました。
19歳と既婚39歳
生徒と教師の危うい関係。
やっぱり初期なので
青いというか
もどかしいというか。
19歳 失恋男子の
ヒリヒリっとした痛みや
モヤモヤっとした揺れ。
さっくり切り込めてない感が
良くも悪くも 薄い。
でも ここが原点として
どんどん 深まったんだなあ、と
改めて 経過作品を
さらに読んでみたくなりました。
]]>
|
はじめての作家さん。
風変わりな人々の中へ
ぽん、と入り込んだ
失恋女子の
迷い 気付き そして開眼のお話。
よくある形の物語だけれど
優しくて 素直な表現に
好感が持てる。
” 「強い」は「弱い」の対極じゃないよ。
自分の弱さから目を逸らさないのが
強いってことだよ ”
主人公の父親が
彼女に語りかけるシーンが好き。
ウジウジしそうな設定も
なぜだか カラッと さらっとしてて
とても読みやすい一冊でした。
追加されている短編も良い。
他の作品も読んでみよう。
]]>
|
図書館本。
盲目の女性。
暗黒な幼少時代から
壮絶な経過をくぐり抜け
盲導犬と共に
生きる光を見つけるお話。
人知れず 産み落とされ
二十数年 戸籍を持たず
外界を知らず生きた女性。
少女期にはそばにいた母親も
いつしか帰らなくなり
劣悪な環境で生き延びる。
幸運にも発見・保護され
人として尊重された暮らしの中で
自分を取り戻していく。
結果 美しい話なのだが
美し過ぎて ピンとこない。
リアルでエグい
大人のお伽噺、な印象。
でも現象はとにかく残酷なのに
展開が起きてからは
良い人ばかりで
ちょっと 読んでるこちらが
救われる気がした。
作者の「人の善」を信じる
気持ちの表れでしょうか。
]]>
|
「ナオコーラ」なんて
変なペンネームだな、
つまらない偏見を持っており
選ばずにいたが
今回 その作品を初読。
至って反省。
末期ガンの妻に寄り添う
夫の視点。
妻の両親・仕事仲間・友人
自分の職場の人々
大切なこと
要らぬこと
欲しい言葉
避けたい言動
静かだけれど切実な心理描写。
淡々と描かれている。
とてもきれいな言葉を綴る人だ。
家族の病室へ通った時期を思い出し
いつも腹筋に力を入れて
病室で泣かないようにしていた
当時の自分が蘇った。
他の作品も
ぜひ読みたい作家さん。
]]>
|
家族って じっとしてないね。
身体も 気持ちも。
でもその振り幅が
幸せの証なのかな。
なんか… 良い本。
]]>
|
思考回路を
ふにゃふにゃにしたい時は
シンスケ・ワールドに限る。
ちょっとだけ 横にずれて
視点を変えるだけで
快適はいかようにも手に入る。
クスクス笑いながら
頭の中から 黒いモヤが
消えていくような本。
]]>
|
「 問題が重すぎて 書きたくないと
ずっと 避けていたテーマ」
出版インタビューでの
真理子さんの言葉が印象的で
図書館に申し込むも一年待ち。
ようやく拝読に相成りました。
いじめ
引きこもり
家庭内暴力
家庭崩壊
…
いくつもの悲しい事件の記憶が示す通り
今となっては珍しくない
負のスパイラル。
ここでは 現状を打破するべく
数年前のいじめについて
訴訟を起こし
再起を図る親子のお話。
有能な弁護士が彗星のごとく現れ
絶望的な有り様に
はっきりと道筋を構築していく。
その展開は見事で
ボリューム感満載の一冊ながら
一気読み。
最近の真理子作品は
あまり選ばないけれど
なるほど 女史の素晴らしい筆さばき。
人間は弱さゆえ 間違いを犯す。
でも ”気付き”を境に
善く生きようとアクションは起こせる。
読み終えた時
背筋がピンと伸びるような一冊でした。
]]>
|
住人がくるくる変わる
とある一軒家にまつわる連続短編集。
登場人物たちが
それぞれ少しずつリンクしており
一冊読み終えて完結する。
各章 不協和音の中で
葛藤する人たちが
繋がりや 小さな気付きによって
新しい一歩を踏み出す
町田ワールドらしい前向きなお話。
幸せは降ってくるのを待つことではなく
勇気を保って 自分で積み上げるものだと
導いてくれる。
心に栄養を注いでくれるような一冊。
]]>
|
マイ千早ブームの集大成にふさわしい
ずっしり重たーい作品。
二人家族だった女子大生。
ある日 父が突然 事故死する。
すべてが止まってしまった彼女の前に
昔 父の友人で近所に住み
その後 著名カメラマンになった
中年男性が現れる。
結果 ドロドロの恋愛劇になるけれど
1シーンずつの描写や
会話が絶妙で
映画化されないかな、と思いながら完読。
この本には一貫して
「死の匂い」がする。
だから 同時に「生」への拘りがまとわりつく。
女の「どうしても」
男の「どうしても」
どうにもならない
それぞれの「どうしても」の形と
それゆえの 痛みや衝撃。
どうにも譲れないことに
行き着いてしまった
気づいてしまった 人間は
不幸なのか?
はたまた その逆なのか。
GW最後に
ふか〜い 泥沼へ
引き摺り込まれた感じでした。
好き嫌いはあっても
千早さん 渾身の一作と断言できます。
]]>
|
PMS ・ パニック障害
周りに認知されづらい
病を抱える若者 二人が
再就職先で出会う。
反発しながらも
身体に困難を持つ者ゆえの視点から
相手を観察し
対策や工夫を提案し
新しい一歩を踏み出すまでのお話。
当事者にすれば
かなり辛い状況でも
瀬尾さんは どこかにユーモアを仕込む。
対話部分が多いのだが
そのあちこちに
シリアスになりすぎない
可笑しさが潜んでいる。
そして 嫌な人がでてこない。
みんなが 暖かくて優しい。
自分も他人へ 優しくありたいと思いながら
読み終えられる「瀬尾ワールド」 健在。
]]>
|
ネットで見かけ 興味を持ったので購入。
3人の子供を育て
伴侶を看取り
ひとりになった筆者の暮らし。
身体も気持ちも気力も
87歳とは思えないくらいに
お元気で 素晴らしい。
「ない」「ない」を
「ならば… では?」
「じゃあ…してみる」と
発想の転換が実に豊かです。
それこそが柔軟な証。
ストレスを作らない工夫こそ
病気にならない秘訣かと。
老後が充実している方々は
気質の基本がポジティブな気がする。
見習いたいことがいっぱい。
そして
「こんな風に歳を取りたい」と
思う読者も いっぱいでしょうね。
偶然ながら 亡くなった母と1歳ちがいで
なおかつ同郷。
なんとなく 親近感を感じながら
楽しく読みました。
これからも
お元気で長生きしてくださいね。
]]>
|
出版は数年前のようですが
最近 書評を見かけ
気になって購入。
インパクトのある
タイトル通りの本。
ドイツ人・少年の目線で
捉え 体験した あの時代について。
そして 無垢で素直で
なおかつ「当たり前」のはずの問いを
大人に投げかける。
子供も 大人も 読み
そして 考えるべき 一冊。
]]>
|
町田・マイブームが続いており。
両親の離婚から始まり
苦しい環境で育ち
さらに夫からのDV
それに付随する貧困・孤独。
八方塞がりの主人公。
偶然が偶然を呼び
シェルターとして住んだ場所は
自分を捨てた母親と
それを取り囲む女性たちの家。
認知症 トラウマ 家族関係
各々が重い問題を抱えていた。
町田ワールド特有の
社会的な弱者が背負う
暗いスパイラル。
そこでぶつかり合いながら
やがて開眼し 立ち上がって
新たな一歩を踏み出す、という展開。
前半の描写がダブついたか
テーマを詰め込みすぎたか
いささか 今回は分散してしまい
終盤 大急ぎで取りまとめた感は払拭できない。
「自分の人生は自分のもの」
繰り返し書かれる大原則に
幾度も ハッとする。
同様な読者は多いはず。
大切な気付きが書かれているからこそ
とても惜しい気がする。
]]>
|
「気持ちにビタミン補給を」
なので 久しぶりに荻原ワールド。
本書は割と薄口。
その分 サクッと読むには
楽なものばかりの短編集。
「君を守るために」が面白かった。
成仏できないお化けとのドタバタ、は
近頃 よくあるパターンだけれど
暖かくて 痛快で おまけにfunnyで
最後に「ふふ」って笑ってしまう。
読み終えた時
少しだけ 心のお肌に
潤いが増してる感じの一冊。
]]>
|
先に「52ヘルツ…」を面白く読み終え
町田ワールド二作目。
登場人物たちが微妙にリンクする
近頃多い 連作スタイルの短編集。
「52ヘルツ…」同様に
家族 生い立ち 諸々に
痛みと葛藤をを抱えつつ
それでも生きていこうと
前を向く人々の 気付きのお話。
解説の吉田伸子さんが書く通り
筆力と構成力に驚く。
長々 書き込みすぎず
でも一番根っこの
感情の揺らぎがなんとも繊細で
なおかつ端的で
読みながら 何度も涙ぐむ。
痛みを知る者だけが
気づける 他者の悲しみ。
知ってるからこそ
見せかけとは別で
真に寄り添える。
辛かった者だけが識れる
癒しや 労いの真価。
今回も やはり
町田さんの深い人間愛に
ドッと飲み込まれたような一冊でした。
]]>
|
多分 初めての作家さん。
虐待される少年・52と
同じく 家族から疎まれてきた女性・キナコ。
二人の出会いと
次のステップへの葛藤と模索のお話。
クジラ同士にしか聞こえない52ヘルツの繋がり。
それと同様に
愛情の飢餓と絶望と孤独を
家族から教え込まれた者たちだけに聞こえる
声なき声。
文字なきサイン。
ここでは強力な協力者との出会いによって
酷な展開もありつつでも
人生をリセットしていく
52とキナコの力強さと潔さに
読んでいるこちらが励まされる。
受けた愛を 次の誰かにバトンしていく
さらには そのことが
自分自身の存在意義の再確認につながる。。。
ひたむきな二人から
勇気を学ぶ 良い一冊。
根底に 強く「愛」を信じる
町田さんの人柄が伝わる。
]]>
|
特にファンということもないのですが
読書家だそうで
時折 目にする書評で
”素直な言葉を綴る人” の印象。
いつか まとまったものを
拝読したいと思っていたら
本屋さんで平積みの文庫本 発見。
雑誌の連載エッセイを文庫化した一冊。
同世代ゆえ「良き時代の原宿」がドンピシャ。
さらに「変わりゆく原宿への想い」も。
読み進めながら
今となっては記憶にだけ存在し続ける
あの 特別な街を思った。
さらに過去・今・未来への
さらっと正直な見解が
人となりを映し出している。
正直ってむずかしい。
卒なく そのスタイルを確立できている
潔さが 清々しい。
魅力的な人だと納得。
]]>
|
いつもは辛口の養老先生でも
愛猫まるを見守る目尻は
下がりっぱなし。
そんなの おかまいなしのまる。
そうなのです。
猫を愛でるということは
こうなっちゃうことなのです。
振り回されてしまうのです。
ずいぶんと昔
実家で長く一緒に暮らした
まるそっくりの猫を思い出しながら
読み進めました。
きっと 読者一人ひとりが
可愛がった猫や犬
小さなパートナーたちを思い出しつつ
ページをめくることでしょう。
まるを通した先生の気付きや智慧もあり
あたたかい一冊です。
]]>