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ニュー・シネマパラダイス / 映画
多くの人が「名作」にまず名を挙げる。
ところが きちんと鑑賞したのは初めて。
「なるほどなあ・・・」
「なるほどなあ・・・」
好きなことに邁進しきれる
純粋さは ”強さ” である。
そして その強さは
誰にでも備わっているわけではない。
混じり気のない
”無垢な強さ”を持って生まれた 選ばれし者は
「そのタイミング」が到来したら
過去の産物や ノスタルジーを
一切合切 脱ぎ捨てて
ただ 目の前に広がる「先」へと
羽ばたくべきである。
過去を手放すことに
少しでも 迷いを持つと
無垢ゆえ強靭な 「意志」は
すぐ 濁を持って 脆くなる、ぶれる。
進むべき者の たった一つの道しるべは
今ある「自分」のみ なのだ。
だから決して 振り返ってはならない。
盲目になった映画技師・アルフレッドが
若いトトに
映画を通して悟った「生ききる」術を
教えるクライマックス。
「戻って来るな」
「手紙も書くな」
「親も捨てろ」
それは
「迷いを捨てよ」
「汝を信じよ」という 究極の考え。
逆を言えば
「迷いがある者に道は極められない」ということか。
ほのぼのとした イタリア田舎の
平和なドタバタ劇、では決してない。
映画をツールにした
りっぱな哲学の一本
・・・そんな 感想。
「 すばらしい! 」
これも 音楽が秀逸。
古き良きものは
まんべんなく すばらしい。
2014.06.30 Monday | - | trackbacks(0)-
ひまわり / 映画
意外なことに
今まで見逃していた一本。
戦争に運命を振り回されてしまった
男女二人の哀しい物語。
とはいえ、回想シーンに出て来る
耳飾りを飲み込んでしまったり
卵20数個のオムレツに身悶えるディナー。
兵役を逃れるための猿芝居。
そして そのあっけない失敗。
シリアスな話にしては
日本人からすれば ちょっと「?」な
イタリア映画独特のシーンもあり
意外な展開にちょっとびっくり。
「戦争」も現実ならば
その後の「生」も現実。
想いとは重ならない現実でも
背負ってしまった以上
戦争と同じく
引き返すことも
逃れることも
もはや不可能なのだ
いえ・・・だったのだ 二人には。
「だれが なにが 悪かったのか?」
「どこが いつが まちがいだったのか?」
いろんな捉え方 考え様があり
おそらく それを語り合うことでも
この世は十人十色だ、と感じる気がする。
けれども。
その答えのない哀しみのシーンで
絶対的だった
後世にスタンダードとして残るほどの
挿入曲の美しさ。
名画とは 名曲が占める割合が
あんなにも圧倒的なのか、と
痛感した古き良き一作でした。
2014.06.30 Monday | - | trackbacks(0)-
ぼくのかみさん / 咲乃月音(宝島社)
初めて読んだ作家さん。
ときどき こういうのに出くわす。
「みつけちゃった!」的な It's my type 。
実は 全く期待してなかったけれど
「あらららら・・・・」と 一気読み。
ほんわかした 癒し系ですが
題材は意外にハード。
「一緒になりたい」
日頃 無口で優柔不断な長男が
突如 結婚相手だと 初めて家に招いた人は
なんと 容姿すゞやかな ハンサム・ガイでした。
口より先に手が出る 大工親父の一家。
「はい、そうですか」とはなるはずもなく
しっかり者の妹の「できちゃった婚」も重なって
平和な家庭はぐるんぐるんにクラッシュ状態…。
向田作品・寺内貫太郎一家を思い出すような
ハート・ウォーミングな家族物語。
どんな穏やかな家にでも
それぞれ個々の想いや 苦悩や 哀しみがあり
平和だからこそ それを重くする時もある。
ちらり、ちらり
なんともいいフレーズが出て来て
そんな心情を切なく綴っている。
『 当たり前やったことがなくなる日がきて
なくなったこともいつか
当たり前になる日が来てしまうやろか。
こういうとき「ずっと」という言葉を
疑うことなく口にできた
子どものころが懐かしくなる。 』
鋭角的な切り口はないので
好みは分かれると思うけど
あたしはちょっと「おお!!」と高得点。
2014.06.30 Monday | - | trackbacks(0)-
往復書簡 / 湊かなえ(幻冬舎)
2014.06.25 Wednesday | - | trackbacks(0)-
永遠をさがしに / 原田マハ(河出書房新社)
世界的著名な名指揮者を父に持つ少女・和音。
ある日 突然 離婚した母は
自分を置いてウチを出て行き
それがよけい 父・娘の亀裂を深め
ココロを閉ざし
孤独な和音の日々が始まる。
さらに数年後。
活躍ステージを海外へ移すため
和解できぬまま 父は渡米していく。
再婚相手だと自称する
見知らぬ女性をウチに残して。
そこから始まる かなり強引な
女二人の同居生活と
それをとりまく友人たちとの交流。
その中で 和音の日々が
少しずつ変化を見せる。
チェロをモチーフに
多感な少女の心情的成長と
家族や友達 それぞれの想い。
いっけん 良さそうなんだけど
「それは ちょっとムリでしょ〜…」と言いたくなる
現実味に欠ける展開がかなり多い。
そして物語の凪の部分の単純さ・甘さにも
どうも首を傾げてしまう。
ところどころ
きゅんとするフレーズがあるのが
原田らしくて 救いだけれど
総合的には お涙頂戴的で
出尽くした小説になっているのは否めない。
このところ 読み続けているので
原田作品は仕上がりにムラがあると
どうしても感じてしまいます。
2014.06.21 Saturday | - | trackbacks(0)-
アライバル / ショーン・タン(河出書房新社)
文字のない おとなの絵本。
不思議な世界だけれど
この世を比喩で表現した
実はリアリティに満ちた一冊にも思える。
絵のタッチも
どこかに 哀しみの痛みのようなモノが漂っており
引き込まれてしまう。
「進化を遂げて広がる近代社会は
実のところ 弱者を叩く
モンスターのような一面があり
それに屈せず立ち向かうには
大切な人を想う「愛」を信じるしかない…
無機質な現代に
昔と変わらぬ あたたかな灯りをともし続けるのは
どんなに科学が、時代が、進歩しようと
変わらず この真実だけなのだ」
… そんな風に受け止めたけれど。
見返す度に あらたな解釈が
じんわり 広がっていくような
そんな 気がする一冊。
2014.06.16 Monday | - | trackbacks(0)-
おしまいのデート / 瀬戸まいこ(集英社)
2014.06.13 Friday | - | trackbacks(0)-
僕らのごはんは明日で待ってる / 瀬尾まいこ(幻冬舎)
2014.06.12 Thursday | - | trackbacks(0)-
月は怒らない / 垣根涼介(集英社文庫)
2014.06.10 Tuesday | - | trackbacks(0)-
ニューヨーク冬物語 / 映画
梅雨入り 雨続き。
鬱ぎがちな週末に
前評判とか全然 知らず
ひょい、と出掛けてみた映画。
百年越しの壮大な
奇跡のラブ・ストーリー。
ってところは 予想通りでしたが
その合間に悪魔と天使の
熾烈なバトルなんかもあり
2時間では ちょっと修まりきらず
「?」な部分も
ちらほらあるにはあったけど。。。
ドラマティックなオーケストラが
ストーリーを正しく盛り上げ
大人のお伽話とするならば
どんどん展開するテンポもよくて
面白かった。
「winter’s tale」というタイトルで
原作があるらしいけれど
おそらく そっちの方が
宗教色もはっきりして
詳細含め 深いのではないか…と 。
ひとつ 難を言うなら
悪魔代表・判事役のウィル・スミスは
ちょっと ちがうかな〜。
人相が善人顔で
かなり 違和感があったわ。
白馬が助けに来るなんて
ほんと 正しいお伽話。
でも かえって すっきりする。
2014.06.08 Sunday | - | trackbacks(0)-
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